私が「モノクロとフルフレームとM?VI M10」を選んだ理由

April 2, 2015

 

 Freefly MōVI M10 が日本に上陸して1年半が過ぎ、後継機としてM15,M5や他社製品も多く出回っているようでCM,PV,劇映画の現場では、すでに使い古されている感がある。「MōVI」に関しての原稿を依頼されたが、私の新作、大崎章監督「お盆の弟」に絡めてモノクロと初めてのフルフレームサイズと今作品でのMōVI の使い方について書いてみます。

 今までもいくつかの作品を撮影担当するにあたり脚本を読んで監督の演出意図を汲みとった上でテスト撮影をし、モノクロ撮影を提案したことがありましたが、今現在の話に見えないとか、興行的にビジュアルが地味になり、客が入らないという理由で却下されました。数年前に来日したキャロリーヌ・シャンプシェも「映像表現において物語を紡ぐのに最もシンプルで力強く美しいのは、モノクロだ。」と語っていて私も共鳴しました。

 映画「お盆の弟」は、大崎章監督のデビュー作「キャッチボール屋」から9年ぶりの新作で、ご自分の故郷を舞台に売れない映画監督とその兄の物語で、まさに私小説のような自伝である。監督の出身地・群馬県玉村町は高崎市のとなり町で絵になるような自然に恵まれているというわけでもなく、監督曰く「何も特徴のない普通の町」でした。主人公達の人生の機微をリアルにこの土地で描いて、物語が終わったときにそれぞれのキャラクターが余韻として心に残れば、と想いました。参考作品として私の好きなモノクロ作品「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」(2013 年/アレクサンダ・ペイン監督)を監督に見てもらい感想を聞きました。

「風景というより登場人物に魅力があって、その個性的なキャラクターの印象が残った。」という意見でした。

私「そうでしょ。何の特徴もない街での、普通の人々が、なぜか愛おしく感じますよね。これは、カラーではなくモノクロだからだと思うんですよ。『お盆の弟』もひとり、ひとりの登場人物が愛おしくなる作品になればと

思うのですが・・・。」

 作品の指針となる方向性が決まり、キャメラを選択するにあたり「フルフレームセンサー」も5D Mark II に決定しました。ロケセットが多く広角を使わず35mm レンズを中心に全身が浮き立つように撮れればと思いました。撮影時からモノクロで収録して、Y,R,G.B などのフィルターワークは、カメラ内蔵設定でコントラスト調整。かつて青年部が撮影新人会だった頃、高村倉太郎前会長の作品鑑賞会とモノクロセミナーを企画しました。その時の資料が残っており大変役立ちました。

 

 ワンシーン・ワンカットの長回しが基本で、芝居をフォローするにあたり、今回は、MōVI M10 を3つの場面で使いました。MōVI の欠点としては、ハンドヘルドで歩く場合に縦揺れに弱く、マーチング・バンドのような小股歩きをして、上下運動がなるべく少ないウォーキング技術が必要です。それをカバーするのに、車椅子を使ったり、ステディカム・アームで上下運動を吸収するような使い方をしました。映画やドラマでMōVI を使う場合の問題点のひとつとして、セットアップに少々時間がかかる事です。それを解決するのに本編カメラとは別にサブカメラをMōVI 専用にし、レンズもインナーズームの伸び縮みしないレンズを使いました。また、現場移動してもそのままのセットアップですぐに使えるよう、大きなジュラルミンボックスにそのまま収められるようにしました。マジョティックモード(シングルオペレーターモード)のカメラワークですが、あまり機械的にならないよう、ステディカムと手持カメラの中間くらいになるように安定具合をマイナス調整しました。

 

ラストシーン(S#64 渡邉家の墓)

   ・ ・・思わず苦笑するタカシ。

   タカシ、もう一度墓に手を合わせると、墓地を後にして歩いて行く・・・。

   抜けるような青空と、壮大な海が広がって・・・。タカシ、歩いて行く。

 

 

私はモノクロの魅力は、色彩を無くす事により、余計な虚飾を剥ぎ取り、より鮮明に被写体の本質を引き出し、観る者の想像力を刺激してくれるところにあると思います。

ラストシーンで「抜けるような青空と壮大な海」があなたには見えるでしょうか?

 

 

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